HuTimeの活用事例
HuTimeは様々な研究分野で活用されています。一例として、過去のH-GIS研究会で取り上げられた研究事例を紹介します。これらがHuTimeを、何に、どのように使うかのヒントになれば幸いです。
地域研究-複数の史料からの解明
複数の歴史史料(歴代宝案、唐船輸出入品記録数量一覧、長崎の唐人貿易)を用い、中世から近世にかけての東南アジアと日本の間の交易の実態をHuTimeを使って読み解いたものです。それぞれの史料に記載された情報を時間軸に沿って並べることにより、どのような品目がどのように日本に運ばれてきたのか、また、各国の政治情勢の変化により交易がどのような影響を受けたのかなどを明らかにしています。
参考文献
- 柴山 守 (2012) 地域情報マッピングからよむ東南アジア. 勉誠出版, 東京, 317pp.
- 柴山 守 (2012) HuTimeでよむ中世・近世近海アジア交流. HuTime/Mapを使った研究事例と将来展望, 2012年3月20日 H-GIS研究会 報告書, pp.1-6.
類似の活用事例
環境学-計測データと文書資料をつきあわせる
琵琶湖を題材に、環境変化や災害に伴って県政や社会がどのように反応したのかを検証したものです。HuTimeを使うことにより、水位や水質などの数値データと県議会の会議録などの文字資料のデータを時間軸上で直接可視化し、時系列で追跡することを可能にしています。また、様々な組織がまとめた年表資料を特定のテーマに沿って新たな年表として再構成し、解析に用いています。
参考文献
- 関野 樹 (2010) 時間情報に基づく情報の収集と解析. 秋道智彌・小松和彦・中村康夫編 水と環境. 人と水. 勉誠出版, 東京都千代田区, pp.74-104.
- 関野 樹 (2009) 琵琶湖の水環境の時間に基づく情報解析. 東南アジア研究 46(4) :593-607.
類似の活用事例
保健衛生-資料収集への活用
総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「熱帯アジアの環境変化と感染症」において、中国の住血吸虫症に関する資料を収集する際にHuTimeが利用されました。集めた資料がカバーする範囲をHuTime上で可視化することにより、調査の初動段階で資料の全体像を速やかに把握するとともに、収集漏れの発見や重点的な検討が必要な時間範囲などを明らかにすることが可能になりました。