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HuTimeにできること

HuTimeに特徴的な機能を紹介します。詳しい使い方やその他の機能はマニュアルなどを参照してください。

スケーラブルな年表やグラフの作成

地図の閲覧ソフトで見たい範囲を移動したり拡大・縮小したりできるように、HuTimeでも時間軸上の見たい範囲を自由に移動したり拡大・縮小したりすることができます。この機能により、1日、1時間の詳細な情報から1年、世紀をまたぐような長期間に渡る情報までを1つの年表や時系列グラフに含めることができます。表示する時間範囲を拡げて俯瞰することで、どの時間範囲に情報が集中しているのか、どのあたりの変化が大きいのかといった情報の全体像を把握しながら、特定の時間範囲に絞り込んで具体的には何がどのように起きているのかを検証することが可能になります。

広い時間範囲のデータ 絞った時間範囲のデータ

降水量と気温の日毎データ:(左)20年分を表示した例。(右)約1年分を表示した例。

広い時間範囲のデータ 絞った時間範囲のデータ データの詳細

滋賀県史より“蚕”を含む記事:(左)約100年分を表示した例。“蚕”を含む記事が戦後出現していないことが分かる。(中)1890年代後半を表示した例。(右)ある記事の詳細情報(別画面で表示)。

タイムスライダ

表示する時間範囲を操作するためのインタフェース(タイムスライダ)。

多彩な表現

HuTimeでは文字情報(年表)と数値情報(折れ線グラフなど)を混在して1つの時間軸上に表示できることが大きな特徴です。これにより、気象、経済といった数値で表現される情報と歴史などの文字や文章を主体に表現される情報を組み合わせて利用することが可能になります。

利用者が作成した独自の時間軸の目盛を扱えることもHuTimeの特徴の1つです。歴史研究であれば当時の暦に合わせた情報解析を、また、雨季と乾季、月の満ち欠けなどを時間軸の目盛として使えば、農業や漁業などの分野でも対象とする現象に合わせた解析が可能になります。

年表の検索と再構成

HuTimeでは、複数の年表から利用者が指定した条件に合致する情報を検索することができます。また、これらの検索結果を使って新たな年表を作成することができるので、複数年表からの特定のテーマに沿った新たな年表を再構成することもできます(GISのマージに相当する機能です)。

時間情報に基づいた解析

GISで特定の条件を満たす空間範囲を矩形やポリゴンとして作成できるように、時間軸上で特定の時間範囲を示す特殊なデータ(「マスク」と呼んでいます)を生成することが可能です。これらの時間範囲は、文字情報(指定したキーワードが含まれる情報の時間範囲)や数値情報(数値が指定した値以上の時間範囲など)を使って生成します。さらに、複数のマスクを組み合わせて新たなマスクを作成したり(GISユニオンやインタセクトに相当)、マスクを使って特定の時間範囲に含まれる情報を抽出することも可能です(GISのクリッピングに相当)。

できないこと?

HuTimeにできればいいのだけれど、現時点ではできない、もしくはあえて実装していない機能もあります。

周期性の解析

周期性は時間情報を扱う上での大きな特徴あり、情報の中から周期を発見したり(フーリエ解析など)、周期に沿って情報を並べたりする機能があれば、時間情報を使った解析の幅が拡がります。しかしながら、現在のHuTimにはこれらの機能なく、今後、何らかの方法で実現することが期待されます。なお、独自に作成できる時間軸目盛を工夫するなどで、一部対応ができることもあります。

より専門的な解析

多変量解析などの本格的な統計解析や時系列分析を行う機能はHuTimeにはありません。これらの解析は、専用のソフトウェアなどにエクスポートして行うことになります。なお、HuTimeには新たな機能をプラグインとして追加することが可能です。必要な解析機能をプラグインとして開発・導入すれば、複雑な統計解析なども可能になります。

地図の表示

時間情報と空間情報は密接に関係していますが、HuTimeに地図を表示することはできません。これは、HuTimeを時間情報の処理に特化させているためです。GISのように地図を表示の基本とすると、空間情報を持たない情報を表示することができません。一方で、時間情報はあっても空間情報がない(場所を特定できない)情報は数多くあります(例:第二次世界大戦、世界大恐慌など)。これらのデータを扱うことを可能にするため、HuTimeではその機能を時間情報の処理に特化させいます。地図上にデータを表示する場合は、GISソフトウェアなどにデータをエクスポートしてください。

試行錯誤のためのツールとして

HuTimeは基本的に時間軸に沿ってさまざまな情報を可視化したり情報抽出などの解析を行う一方、専門的で複雑な解析はできません。現時点では、HuTimeは何でもできる万能ツールではなく、研究の初期段階で試行錯誤や問題発見のためのツールとしての役割を目指しています。目的に応じて、専門的な解析を行うソフトウェアと組み合わせて、HuTimeをご活用ください。